親知らず
口腔外科

智歯(親知らず)

智歯(親知らず)とは?

永久歯の中で最後に生えてくる奥歯のことを『親知らず』と呼んでいます。この歯が生える時期は15〜16歳頃(高校生)と決まっていますが、歯並び、歯の傾き、顎の骨の大きさ等により個人差もあります。

現代の人の生活は、軟らかい食べ物をより食するようになりました。そのため、顎を使いよく噛むことが少なくなり、大昔と比べて使われなくなった顎の骨が退化して小さくなる傾向にあります。顎の骨が小さくなると生えてくる歯のスペースが不足し、最後に生えてくる奥歯は正常な位置に生えることが困難になります。現代の人で、親知らずが正常に噛み合って食事に役立つことはまれです。現代の多くの人の親知らずは多くの場合、傾いてしまうか、顎の骨や歯肉に埋まったままの状態で口の中に生えることのないまま止まってしまいます。

なぜ智歯(親知らず)を摘出する必要があるのか?

正常な歯並びでない歯は、歯ブラシなどでの清掃が難しく、周囲が不潔になりやすいです。親知らずそのものが細菌の温床となり、親知らずの痛みやその手前の奥歯にまで細菌感染(虫歯や歯周病)を起こすことがあります。食事に役立たない親知らずを放置することで、一生使っていく大切な奥歯を病気にして、最悪の場合失ってしまうことにもなりかねません。

細菌感染(虫歯や歯周病)は初期のうちは症状がなく痛みや腫れも分かりません。それらの症状が出てきたときには、親知らずの周囲で細菌感染が進行してしまっているということになります。親知らずやその周囲での細菌感染は、歯肉の腫れだけではなく、顔(頬や顎)・のどの腫れを引き起こすことがあり、感染が周囲に広く拡大してしまう場合もあります。

また、埋まっている親知らずが手前の歯に食い込んで圧迫することで歯並びが乱れてしまうこともあります。歯列矯正治療を行う方が親知らずを摘出するのはこのためです。

このような理由で親知らずは自覚症状(痛みや腫れ等)が有るか無いかに関わらず、お口の中全体の病気を予防するために早期に摘出することがおすすめです。

智歯(親知らず)を摘出する時期は?

親知らずは、だいたい15〜16歳頃に顎の骨の中に出来上がってきます。しかし、顎の骨が小さく生えるだけのスペースがない場合や傾き手前の歯にぶつかっている場合はそれ以上待っていてもお口の中には生えて来ません。生えてきても歯の頭の一部が歯肉の隙間から顔を出して止まることや上の親知らずの場合は頬側に傾いて生えてくることがあります。正常な歯並びになることがまれであるために、少しだけ生えてきた場合でも歯ブラシで掃除が出来ず不潔なままとなることが多くあります。その状態を放置することで、周囲の役に立っている大切な歯に悪影響を及ぼすこととなります。

したがって、細菌繁殖、周囲への感染波及を起こす前に摘出することが望まれ、高校1年生ごろから摘出を検討されると良いかと思います。

16歳頃の親知らずは細菌感染も少なく、歯根形成が未熟であり周囲の顎の骨などもまだ軟らかいため、摘出手術も安全で容易に行うことができます。成人以降になれば、骨や歯も硬くなり、親知らずの歯根も顎の骨の深くに伸びていきます。その分、摘出手術には時間を要すこととなり、合併症などを防ぐためにも慎重に行うことより求められることとなります。

手術の方法は?

親知らずは第三大臼歯と呼ばれる歯で大きな奥歯です。下の歯は特に正常に生えているように見えていても、根が長く骨にしっかりと植わっていることもあり、引っ張るだけで抜けることは少ないです。一方、上の親知らずは、下に比べて上顎の骨が軟らかい分、容易に摘出できることも多いですが、中には歯根の先が複雑に曲がっていたりすることもあり、根の先が折れて顎の中に残されたままになることもあります。

手術前に、歯の状況を診断し、手術計画を立てることが大切であると考えます。
埋まった親知らずの場合、周囲の歯肉を切開して顎の骨を削り、親知らず自体も細かく割って摘出します。摘出後、歯の残りがないことを確認し、切開した歯肉を縫合して終了となります。

手術後の腫れや痛みについて

親知らず摘出手術のあとは、顔が強く腫れて、痛みが続きます。その程度は、歯の大きさや埋まっている状態、年齢などでかなり個人差があります。また、腫れだけではなく、手術側に内出血が起こることもあります。これらの術後症状も多くは術後2日目で最大となり、1週間ほどで引いていきます。腫れに伴って大きく口が開き辛くなることもあります。

痛みは、手術時に説明するように鎮痛剤を適切に使用していただく事で抑えることができますが、腫れや内出血は自然におさまるのを待つこととなります。初めて摘出手術を受けられた方は、腫れることに大変驚かれますが、手術後の反応であり、時間とともに元に戻りますのでご安心下さい。また、腫れの大きさや痛みの程度と、手術後の傷の治り具合の良い悪いには関係がありませんので、術後の注意事項をしっかりと確認して生活してください。

手術後の処置、通院について

摘出手術後、当日の激しい運動は控えて頂きますが、翌日からの通学、通勤、運動は何ら問題ありません。処方薬をしっかり服用して頂き、摘出手術後約1週間で抜糸処置を行います。その後、傷口が化膿する可能性がある術後1ヵ月の間に1,2回創部洗浄を行います。その後も、顎の骨の傷が完全に治癒するには数カ月かかりますので、状況に応じて経過観察を行います。

手術の危険性について

親知らずの摘出手術は口腔外科では最もありふれた手術です。しかし、手術には何らかの危険をともなうものではありますから、手術前の診査診断から術前の説明をしっかりとお聞きになり、納得していただいたうえで手術を受けられますことをお勧めいたします。

上顎の場合は、骨の中にある大きな空洞(上顎洞)が親知らずのすぐ近くにあります。特に親知らずの歯根周囲の骨は薄くなっており、レントゲン画像で見ると、空洞に歯根が突き抜けているように見えることもよくあります。上顎の親知らずを抜歯摘出すると、歯根の先の骨に穴が開いてしまうことがあります。この穴の大きさによっては、お口の中の食べ物などと一緒に細菌が入り込んでしまい細菌感染を起こすことがあります。抜歯後に確認し、必要であれば穴を塞ぐ手術を同時に行うことがあります。

下顎では、顎の骨の中に太い神経と血管が通る管があり、親知らずの歯根が近くにまで成長してしまうことがあります。この神経などを含む管と親知らずの歯根が接していることや湾曲した歯根の間を管が通っていることもまれにあります。このような状態を無理やりに摘出しようとすると管を壊してしまうことや中を通る血管や神経を傷つけてしまうことになるため、術前の診査診断、手術計画の検討が重要となります。また、神経は非常に繊細であり、例え管の破損や直接的な傷がなくても、少しの圧迫や引っ張られることだけで障害を起こすことがあります。この神経に傷がついたり、何らかの影響が及ぼされると、摘出手術を行った側の下唇やその周辺の顎の皮膚感覚が鈍くなることがあります。これが、最も考えられる後遺症であります。また、ごくまれですが、下顎の親知らずの埋まっている顎の骨の舌側には、舌の感覚をつかさどる神経があるので影響があると手術側の舌の感覚が麻痺することがあります。神経障害は軽度の場合には半年程度で自然に回復しますが、重度の場合はある程度は回復しても感覚の異常が残ることがあります。

また、術後、いったんは腫れや痛みが消えたのに、術後3週間後くらいで再び腫れてくることがあります。これは、お口の中には多くの細菌が住んでおり、お口の中の傷は常に細菌などにさらされた状態であるということや、術後親知らずを摘出した穴に食べ物などが入り込みそこで細菌が繁殖することにより起こります。この様な症状が生じた場合は、傷の中の汚れを取り除く処置を行うことで治癒していきます。

その他に術後の使用薬剤や手術器機などをお口の中で扱う為、手術方法、術後の処置などについても術前にしっかりと説明を受けられることをお勧めいたします。

安全な手術を行うために術前の診査診断、手術計画が重要です。

当院では、智歯(親知らず)摘出手術を検討される方に、CT検査による三次元的な親知らずと周辺組織の位置関係の把握を行ったうえで、術前の病状説明から手術に伴う危険性や合併症のリスク、手術計画また術後処置までしっかり説明させて頂くことで、より安全安心に手術を受けて頂けるようにしております。

親知らずの摘出手術は、小手術ではありますが、その状況は様々であり、多くの経験が必要となるものです。これまで述べてきた知見や口腔外科的な手技を徹底指導していただきました口腔外科専門医である恩師にこの場をおかりしてあらためて感謝申し上げます。

ご指導頂きました経験、技術を地域の方々に少しでもお返しできるように、引き続き、努力させて頂きたいと存じます。

粘膜疾患

お口の中にできる粘膜疾患については、口内炎や粘液嚢胞、扁平上皮由来の乳頭腫などの良性腫瘍から扁平上皮癌の様な悪性腫瘍まで様々なものがあります。

口腔粘膜疾患には、口腔粘膜固有の疾患、皮膚疾患と関連のある疾患、全身疾患の部分症状、また、初発・先駆症状(何かの病気の初期症状)と認識するべき疾患があります。

口腔粘膜と言っても、唇や頬や舌や歯肉など色調や組織的にも様々です。また、食事や嗜好品、会話、不良補綴物、歯の鋭縁など物理的・化学的刺激を受けやすく、部分的に安静が保ちにくい場所であり、症状が変化しやすいものです。

口内炎のように数日で治癒する病変から、前癌病変と呼ばれ将来癌細胞に悪性変化する可能性がある粘膜病変(白板症、紅板症、扁平苔癬など)もあります。一見して、悪性を強く疑えるものからそうでなく病理組織学的な検査が必要なものまであります。

当院では、定期的な受診により患者様のお口の中の変化を経年的に観察させて頂きます。また、現在、ご自身のお口の中に何か変化を自覚され、不安な点がございましたら些細な事でもご相談ください。当院にて診察後、必要と判断いたしましたら、病院口腔外科を紹介し、精密検査・診断を依頼させて頂きます。

診療内容一覧に戻る

トップに
戻る